神奈川県環境農政局より、無花粉ヒノキを全国で初めて発見したことが、本日記者発表されました。
神奈川県としては、県内の林業支援を推進しつつ、今や国民病と言える花粉症対策にも力を入れる体勢を整えつつあります。
よって、この無花粉ヒノキの発見は大きな前進と言えます。
環境農政局は、近藤が委員長を務める環境農政委員会の所管局であることから、今後の動向を注視していきます。
《無花粉ヒノキを全国で初めて見つけました》
神奈川県自然環境保全センター(厚木市七沢)では、このたび県内の森林内で花粉が飛散しない、いわゆる「無花粉ヒノキ」を全国で初めて発見しました。
この無花粉ヒノキは、平成23年度から24年度に4074本のヒノキを調べ、1本だけ見つかったもので、その後花粉が飛散しない性質を2年間かけて解明しました。
このヒノキが無花粉ヒノキであることは、今年11月にひらかれた森林遺伝育種学会において専門家に確認されています。
今後この木を、挿し木や接ぎ木で増殖することにより、無花粉ヒノキの苗木の生産に繋げていきます。
なお保全センターでは、無花粉スギに関しては、既に平成16年に県内で発見し種子を生産しており、生産者が苗木を生産し各地で植栽が行われています。
発見した無花粉ヒノキの親木 無花粉ヒノキの苗木
*無花粉スギ・ヒノキとは
無花粉スギ・ヒノキには、花粉を作る雄花はできるが、花粉が飛散しない形質(雄性不稔)と、雌花が正常な種子を形成できない形質(雌性不稔)が加わる良性不稔のものがあります。
雄性不稔のみの性質を持ったものでは、雌花が受粉して正常な種子を形成できるので、種子による苗木を生産できます。
今回発見したヒノキは、雄花、雌花共に不稔(両性不稔)であり、花粉が飛散せず、種子も正常に形成しないので、種子を使った苗木が作れないため、挿し木や接ぎ木により苗木を生産します。
*今後の予定と実用化について
今回発見した無花粉ヒノキは今後、種苗法に基づく品種登録を行います。
現在、試験的に挿し木による増殖に取り組んでおり、今後は品種登録後(登録に要する期間は4~5年程度)の早期実用化をめざし研究を進めます。
今回発見した無花粉ヒノキは、両性不稔の為、増殖が挿し木や接ぎ木に限定され、単一の形成のため病害虫の被害が大きくなるリスクがあります。
そこで今後、種子による増殖が可能な雄性不稔のみの性質を持ったヒノキも引き続き探索します。
飛散期を過ぎた雄花葯内 葯内の花粉の元になる細胞
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詳しい問い合わせ先
神奈川県自然環境保全センター
研究企画部長 濱名
研究連携課 主任研究員 斎藤
046-248-0321
12/10に限り045-210-4306(自然環境保全課調整グループ)