放射性物質を含む下水道汚泥処理対策

30日より各常任委員会の審査がスタートしています。
近藤の所属する建設常任委員会では東日本大震災をうけて津波対策や液状化対策など様々な論点があります。

近藤が質したのは、県管理下水処理場の汚泥等の処理について。
福島第一原子力発電所事故の影響により、神奈川県が管理する4ヶ所の下水処理場から放射性物質が検出されています。
憂慮すべきは、国が一時保管を求める濃度8千ベクレルは下回っているものの(最大値は相模川流域左岸処理場の4,424Bq/Kg)
放射性セシウム測定値が約2500~約1000ベクレルで止まり一向に下がらないという事。
下水処理場には、生活排水のみならず雨水が流入するため幅広いエリアに飛散している放射性物質を蓄積するのでしょう。
下水道汚泥は焼却し、灰をコンクリート原料等として再利用できるため建設リサイクルの優等生と言われていますが
放射性物質が検出されるためセメント業者が受入れを拒み9月26日現在、
県4処理場合計で約3,205トンの焼却灰を処理場内で保管せざるを得ない状況です。
焼却灰は飛散等しないよう安全に保管していますが、相模川流域右岸処理場以外の3ヶ所の処理場では、
屋内だけでは保管する事が出来なくなり、土のうに詰めたうえで屋外に保管しています。
論ずるまでもなく灰の飛散などの安全性を考えれば屋内で保管すべきです。
神奈川県は、放射能濃度の測定状況から保管の長期化も想定されることから焼却灰を安全に保管するために
保管用建屋建設費等の補正予算を約7億7千万円計上しました。

下水道汚泥の処理に困っているのは神奈川県に止まらず処理場を有する県内自治体共通の課題です。

先日、横浜市が下水道汚泥焼却灰を南本牧廃棄物最終処分場に埋め立てを実施しようとしたところ
市側の説明不足もあり住民から大反対の声があがり急遽市長会見を開催し、事業凍結をした事例があります。
横浜市も神奈川県と同様の状況である事は容易に判断できますが
、説明責任を果たさずに埋め立てを進めるというのはいただけません。
市民県民と情報を共有し解決策を検討し理解を得なければなりません。

県管理4処理場から排出される汚泥焼却灰は日量23tにもおよぶことから悠長にかまえている時間は残されていません。
ポイントは、焼却灰をいかに安全に保管するのかという事につきますが、保管スペースにも限界があります。

近藤は、常任委員会審査において焼却灰の容積を小さくするとともに飛散防止にも資するスラグに溶融固化する事を提案しました。
スラグにすることで管理しやすくなる事に間違いはありませんが、
放射性物質が濃縮されることで放射線量も高くなる事も判明しました。
汚泥のままなら放射線量は低いが焼却灰の約30倍の容積があることから保管場所がすぐに満杯になってしまう。
現在国では、各県で保管場所を確保するように指示しているとのことだが、
誰もが放射性物質の近くでは生活したくない事から用地確保の見通しは極めて悪い。
現在、近藤は解決策を持ち合わせていないが英知を結集して任にあたりたい。

処理場名              最近の測定値(9月20日採取)
相模川流域左岸処理場(茅ヶ崎市柳島) 1,101
相模川流域右岸処理場(平塚市四之宮) 2,546
酒匂川流域左岸処理場(小田原市西酒匂) 829
酒匂川流域右岸処理場(小田原市扇町)  741
(数値は焼却灰に含まれる放射性セシウムCs-134 とCs-137の合計、単位はベクレルBq/Kg)

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