28日~29日で鳥獣被害対策の条例検討プロジェクトチームで高知県へ視察に行きました。
視察目的は、神奈川県同様のシカ等による農林業被害及び自然植生被害に対する高知県独自の取組を調査することです。
高知県は47都道府県で唯一、鳥獣被害対策に特化した担当課を設置し、様々な取り組みを行っていますが、
その行政背景には9000頭と言われている鹿の適正頭数に対し、5倍以上(47000頭)にも増えた鹿への対応がありました。
農林業被害は深刻で、毎年2億5千万円を上回る被害申告がありますが、申告の多くは農業被害であり、
林業被害をしっかりと積算すると被害額はいくらになるのか分からないほどになるとの事です。
ヒノキが鹿の樹皮むき被害にあうと材質が落ち商品価値も下がるとの事で、樹齢30年になるまで育て上げたヒノキ林が
壊滅的な被害にあうなど、林業をあきらめる人も少なくないとの事です。
高知県の農林業被害はテレビでも大きく取り上げられ、対策を求める県民の声も多いとの事です。
国では、「鳥獣被害防止の特別措置法」を平成19年に成立させ支援を打ち出していますが、対策の実施主体が市町村の為に、
足並みが揃わず実績が上がらない状況があります。
高知県では、「特別措置法」に基づく市町村補助事業も行いながら、県単独事業として鹿1頭8000円の捕獲報奨金事業を行っていました。
平成21年度は8000頭捕獲するために6800万円の予算が県単独事業費で計上されていました。
神奈川県では、4500頭いるとされる鹿を適正頭数の1500頭まで削減するという「ニホンジカ保護管理計画」に基づいて
様々な施策を実施していますが、高知県に保護管理計画は無く、産業を守るために必死になっているという事を感じました。
神奈川県でも、高知県同様に県の積極的介入による管理捕獲の強化を求める声が大きくなっています。
現在、民主党かながわクラブ県議団において、近藤が鳥獣被害対策プロジェクトリーダーとなって、
適正頭数化と生息域保全を実現する条例案を検討中です。
鹿だけでなく猿やイノシシ等も含め、野生鳥獣と人間が共存する条例案を本年中に発表する予定なので、引き続き報告します。